リアル

温かい陽が当たる街中。


日中の昼間は何て清々しいのだろう。


いつもなら寝ている時間を歩くのは懐かしくて、そして新鮮だ。


「茜、あれ見て。」

「うん？」


「あのマネキンの履いている靴可愛いね。」


ガラス張りの箱の中に四体のスタイルの良いマネキンが飾られていた。


「あっ確かに可愛い♪」


そぅ言うと杉田純一はあたしの手を引っ張りそのお店のドアを引いた。


「いらっしゃいませ。」


そのマネキンと同じくらいのスタイルの店員さんが口の端だけを上げながらニコニコと立っていた。

「ウィンドゥのマネキンの履いている靴を彼女に出してもらいたいんだけど。」

「かしこまりました。ちなみにどのタイプの靴をご用意いたしましょう。」


「あの四体のマネキンの靴を全て23のハーフで。」


「はいかしこまりました。」


そう店員が言うとガラス張りに飾られていた四体のマネキンの履いていた靴を順々に並べだした。


「茜、はいてごらん。」


あたしは一足一足の靴を丁寧に履き、鏡でじっくりと見た。


どの靴も素晴らしく素敵でうっとりするくらいだ。


「どう？気にいった靴はあった？」


「全部可愛すぎてうっとりしちゃうくらい！！」


本音でそう思えるくらいに全ての靴が素敵だ。


「サイズは？ピッタリ？」


「うん。ピッタリ。」


鏡の前で色々な角度でその靴たちを履いて見た。


素敵．．．。


何とも言えない嬉しい気持ちになる。


「じゃぁその靴全てを彼女に。」


「．．．えっ？」


「茜、君には常に笑顔でいてほしいんだよ。」


「お買い上げありがとうございます。ただ今包装するので少しお時間のほどを。」