リアル
温かいコーヒーを茜が煎れてくれた。


「...うまぃ。」

「でしょ。あたしが煎れるコーヒーは世界一なんだからっ。」


「確かに。そぅだね。」


自慢げに言う茜の顔を見ながらププっと笑ってしまった。


暫くの沈黙を破ったのは茜だった。


「...麻波...さっきはごめんね。感情的になりすぎちゃった。」


真っすぐな茜の瞳。

「...謝るのはアタシの方だよ...嘘ついてごめん...。」


ゴクゴクと残りのコーヒーを飲み干すと...


「...悪いと思っているなら今日の晩酌、麻波のおごりね。」


意地悪な目つきだ。

「分かった。茜さんに今日はおごります。」


パチっと目が合った瞬間なぜか二人で笑いあった。


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