リアル
アタシは今の状況が理解出来なかった。

この日は自分の家に帰してもらえずにいた。


そのまま両親とも会えず携帯からメイクポーチまでもが没収された。


その日の夜、左手だけだった手錠が両手になり、真っ黒なクラウンのセダンに乗せられた。


1時間ほど走った所で車が止まった。


「着いたよ。下りなさい。」


と、稲守刑事言った。


見知らぬ場所だった。


アタシは稲守刑事に明日には家に帰れるのかと聞いた。


稲守刑事はアタシをチラっと横目で見ただけで何も言わなかった。


アタシは今、高下大輔の事を考えていた。
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