巡り行く季節の中心から【連載中】
「そこの二人先程からうるさいザマスよ。授業中の私語は慎みなさいと何度も忠告しているザマショ!」
「す、すんません……」
「まったく、ワタクシの有難い授業を蔑ろに扱うだなんて罰当りな!それではこの空欄に入る英単語を長谷川クン、答えるザマス」


げ。なんで俺が。
ナツの方を見ると、肩を震わせクスクスと笑いを堪えていた。
せんせーい、同罪のコイツにも罰問題を与えるべきだと思いまーす。

そうやって挙手と共に主張できたら、それはどんなに気分が晴れることだっただろうか。
利口な選択ばかりしてきた俺が、メガネの向こう側にある刃物の如く鋭い目つきに逆らうなんて愚行に走るはずもない。
クラスメイトから笑い者にされながら、言われるがままに黒板に描かれた四角を埋めるべく教壇へ足を進めた俺。

たまたま映した視界の端で米澤が薄っすらと微笑んでいたのは、何かの見間違いではないと信じたい。
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