巡り行く季節の中心から【連載中】
「そりゃ否定はできないわ。でもアンタと仲良くしたいってのは本当の話よ。興味があるの。いつも本ばかり読んでるからどんな子なのか」


それで?色々聞き出して陰で面白話として嘲笑うつもり?
進めていた足を一度止め芳賀さんと向き合った私は、冷たい眼差しを投げかけた。


「……信じられないよ」
「へ?」
「私、あなたの言っていることが信じられない」


もうあんな思いをするのは嫌。
だったら最初から関わりたくないの。
それだけ伝え終わるなり、早足で先を行く私に芳賀さんは叫んだ。


「あたしはアンタのこと信じてるわよー!」


その言葉に少し……ほんの少しだけ、心が揺らいでしまったなんて、今日は疲れているのかもしれない。
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