穂先輩が甘々すぎる。



彼女と会話をしながらお会計を済ます穂先輩の背中を、無言でじぃっと見つめていた。


ふたりの間に入る勇気も、会話スキルも、私にはまったく持ち合わせてない。


急に居心地が悪くなったように感じてしまった。


こんなふうに考えちゃダメだ。


…穂先輩、学校で女子には興味ないって言ってたけど。


今、話をしているこの人は例外なのかな。


こんなに楽しそうに笑って会話している穂先輩を見るのは初めて。


心を許しているような、まるで家族と会話をしているような気楽そうな感じの穂先輩。


私と話をしている時よりも、楽しそう…なんじゃないかな。


なぜか胸がちくっと痛んだ気がした。


そんな穂先輩を見ているのがちょっと、ちょこっと…悲しくて寂しいからだ。


なんだろう、この気持ち。


なんだかこの光景は、あまり見たくない。


…早く、帰ろう。


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