腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】


 そしてもう一つは、暗示。

 寝ている彼女にいつも僕は話しかける。

 ゆっくり、丁寧に。
 低く、言い聞かせる。


「……あげは、覚えていて? 僕が聞いたときには、必ず何にでも答えるんだよ。僕に隠しごとなんてしないようにね」


 毎日毎日、言い続けた。
 心理学だけでなく、催眠術なんて怪しげな本まで手に取って。



 彼女が高校に入ったころ、
 これが思わぬ効果を発揮しだした。

「あげは? 今日、どうして遅くなったの」

 まっすぐとあげはに問う。
 あげはの目を見る。

 あげはが答えないように戸惑った表情を見せると、

「教えなさい」

 もう一押しする。
 すると、彼女はすんなり答えるようになっていた。


「え……あの、クラスの榛村くんが一緒に帰ろうって……」

「ふうん」


 榛村ね。
 きっとあげはに気があるのだろう。

 とりあえず身元を調べて、あげはに悪さをできないようにお灸をすえた。

< 145 / 252 >

この作品をシェア

pagetop