腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】
「ひどっ! ……っ!」
そんなことを言われたらもう目もそらせなくなってしまう。
泣いても涙を舐めとられるだけで、私を責める手を止めてもくれない。
「ゲスドウだっけ? あげはがそう言ったからね」
クスクス笑っていても、先生の目は笑ってなかった。
―――まだ、それ、恨んでましたか!
「ごめんなさい、もう言わないから!」
泣いて懇願しても、先生は口元で笑うだけ。
そして目が合うと、もうだめだ。
「いいよ、そんなことはどうでも。でもね、あげは? 今日のことはきちんと見て、一生覚えていなさい」
先生の言う事には、なぜか昔から逆らえない。
もう何度目かわからない口づけを交わして、先生が嬉しそうに目の前で笑った。
恥ずかしくて目をそらしたかったのに、私は、目の前の須藤先生を見つめるしかできなかった。