腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】
「「いったぁあああああ!」」
私と須藤先生の声がハモった。
て、手が……痛い!
ひりひりする!
まさか叩いたほうもこんなに痛いだなんて!
どんな強靭な肌してんのよ、この男!
「ちょ! それが助けてやった男にすること⁉」
「誰が助けてなんて言ったのよ!」
「あのね……あんな商社マンはいない。量販スーツで、名刺もない。会社名も言えない。ついでにドルを円に換えるなんて時間がかかることじゃない。海外飛び回るならネットバンクだ。ネットバンクならすぐにエクスチェンジできる。……まったく、そんな知識もない奴がよく詐欺しようなんて思ったな」
「そんなのっ!」
私は言葉に詰まる。
私だって。
なんとなく感づいてた。
何かおかしい。
ただ、彼は私に欲しい言葉をくれて。
「私に、そのままでいいって言ってくれたんだ」
優しかった。
男の人にそんなこと言われたことなかったから、すごく浮ついた。
それで騙されてバカみたいだよ。自分でもバカだって思う。
でも、ブレーキが利かなくなってた。