腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】
「わかるでしょ。実家でもなければ」
「……私帰りませんから」
いつもと違う低い声であげはちゃんは言う。やはり相当怒っているらしい。
私はと言うと、その様子に思わず笑みがこぼれた。
「そうですよぅ。あげはちゃんは今夜うちに泊まってくらしいですよ」
「だめ」
須藤先生がぴしゃりと言う。
それに思わずむっとしたところで、須藤先生は、あげはちゃんの前に歩みでる。
「あげは、こっち向きなさい」
「やっ」
なおも顔を背けるあげはちゃんを、須藤先生は無理矢理に抱きしめた。
「あげは、ごめん」
「……」
「あげはが隣にいないと寂しいんだ」
それは、聞いたこともないような声だった。「僕はあげはがいないとダメみたい」
この男、こういう甘い声も出すらしい。
普段はこんな声は出さない癖に……。その場にいた全員がその声に絆されそうになった。