狼男  無限自殺 編



「ちなみに今回の我が愚息の顛末について、【丸井】様は何と仰られているんですか?」


「ボケナス。あのお方をその名で呼ぶな。
“ご隠居様”と呼べ。」


「失礼しました。忘れておりました。」


「ご隠居様のお耳には入れていない。

もうあのお方は名を変え、【駄菓子屋さん】として余生を楽しまれてる。

わざわざ御心配をお掛けする事もない。」


「そうですか・・。

キョウスケと娘がお世話になっているので、

何かご助言を頂けるかと安易に考えておりました。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・いかがされました?」


「こちらからご隠居様へは特に何も報告はしていないが、

ご隠居様から俺達へ御話があった。」


「なんですか?」



「小松アンナについてだ。」


「小松アンナ・・・・・。
キョウスケの所で働いている子ですね。」


「・・・・・・・・・・・。」


「ご隠居様は何と・・?」


「【あのナイスバディの姉ちゃん、可愛いのぉ】と御一言だけ。」


「・・・気になりますね。」


「あぁ。だがもし“怪人”なら、キョウスケとお前の娘が見逃すはずがねぇ。

あの女は正真正銘の“人間”のはずだ。」


「ご隠居様の【心眼】が、彼女の中に眠る何かをお悟りになられたのでしょうか?」


「その可能性が高い。・・考えてみろ?

結果的にヴァンパイアとも獏とも、
あの女は接点を持った事になる。

これが偶然だと思うか?」


「稀代のトラブルメーカーなのかもしれませんね。」


「ただのそれだけだったら良いがな。

・・とにかく、お前はBMUの2人を強化。

BMUの2人は準備が整い次第、広島へ。

キョウスケとショウゴは、
引き続きマサムネを追わせろ。」


「分かりました。」


「俺は念の為、小松アンナを調べる。

ご隠居様が人間に興味を示すなんて、
俺が知る限り500年振りだ。

【自覚が無いだけ】で、あの女は“ただの人間”じゃないかもしれねぇ。」




「それはそうと、失礼を承知で申し上げてもよろしいですか?」


「なんだ?」


「そのプッチンプリン、
さっきの病室から数えて何個目ですか?」


「あ?24個目だけど。」


「・・・・そろそろ糖尿病になっても知りませんよ。」





          狼男  無限自殺 編

                終
















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