DIYで魔法世界を再建!
第三十五章 その日もいつもの日常・・・
夏が近づくと、どうしても雨が続いてしまう。ただ、屋根がある場所で休めるだけでも幸いだ。この世界に来て1年目の頃は、幸運にもそれほど雨季が続かなかった。
サバイバル生活では雨水が貴重な飲み水にはなるけど、小川の水でも水分補給はいつでもできるから、雨はそれほど期待していない。
ただ、雨が降った後は、決まって林が元気になる。多くの植物が芽吹き、木々の青さが鮮明になる。だから、雨が嫌いというわけではない。
雨上がりの外を散策するのも好きだし、土と雨が混ざり合った匂いも好きだ。私以外の住民も、こぞって雨上がりの林に向かっている。
精霊さんの話によると、最近は『雨』からも微弱ながらも魔力を感じるんだとか。
ウィバリーさんが林を管理していた1000年前は、雨にも僅かな魔力が宿っていたけど、私がこの世界に来る直前に降った雨は、単なる『水』でしかなかったそう。
雨に含まれる魔力も、精霊さん達にとっては貴重な栄養源。だから、雨に魔力が含まれていないだけでも、精霊さんにとっては死活問題だった。

「恐らく、戦争によって生み出された『負の魔力』が消えつつある証拠だろうな。」

そう言いながら、林を散策する私の周りをフヨフヨと漂うシナノ様。気づいたのだが、シナノ様も初めて会った時に比べると、水々しくなった様に見える。
自分から発光しているというか・・・朝日に照らされると眩しいくらい。これも、林の魔力の巡回が安定している証拠だろうか?
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