DIYで魔法世界を再建!
第三十七章 漆黒を身に纏う怪物
だが、ヌエちゃんの体調も、何故かおかしい。
怯えているだけだと思ったけど、それにしては、息が妙に荒い。汗も止まらない状況で、顔も真っ赤。試しに額に触れてみると、ジワジワと熱くなってきている。

「・・・シナノ様・・・これは・・・」

「・・・何者かが・・・ヌエの体から魔力を強引に吸い上げている。そのせいでヌエの体が拒否
 反応を起こしているのだ。」

「『何者かが』って・・・誰?」

「私にも分からん。たださっきから聞こえる奇怪な鳴き声の主だろうな。人間の魔術師が他人の
 魔力を吸い上げる事は可能ではあるが、それにしては妙だ。
 彼女に宿った魔力が自ら抜けていくなんて・・・私も初めて見たぞ。」

私はとりあえず、よろけるヌエちゃんを抱え、鳴き声がおさまるまで待ち続ける事にした。下手に動かしても逆に危険だと判断したからだ。
シナノ様も魔力を吸い上げられているのか、ヌエちゃんの肩を掴む手が震えている。私にはそもそも魔力を扱うスキルがない。だから私には不気味な現象にしか思えなかった。
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