DIYで魔法世界を再建!
第四十二章 衝撃の告白を月に告げる
足音の主が向かった場所は、教会から遠く離れた所にある、ちょっとした高台。そこに登れば夜空が一望できるから、それが目的だと思った私は、その足音の主に声をかけてみる事にした。
だが、その相手との間隔がm単位で近づいた時だった。何故かその足音の主が、急に泣き崩れたのだ。号泣とまではいかないが、何故か許しを乞う言葉を何度も何度も連呼していた。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 ごめんなさい・・・」

よく見ると、その人物がシーズさんである事が分かった。普段から愛想笑いしかしない彼が、まるで子供の様に泣きじゃくっていた。
刹那に膝から崩れ落ち、そのまま地面に頭を擦り続けながら、ワンワン泣き叫ぶ。静粛に包まれた林の中には、彼の絶叫がこだましていた。
突然の出来事に動揺していた私だったけど、このままにしておくわけにもいかない。今にもこの高台から身を投げてしまいそうな程、彼は追い詰められている様子。
ただ、私にはその原因が全く理解できない。あの黒い龍の正体が分からずに悩んでいるのか、それとも自分の居場所がなくなる恐怖に怯えているのか。
どちらにしても、今の彼の状態は、明らかに不自然だ。悩み・怯える事は誰でもある。私でもある。ただその理由が、明らかに前者も後者も釣り合わない。
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