DIYで魔法世界を再建!
「・・・・・。」

彼は赤面する自分の顔を隠すように、下を向きながら話を続けてくれた。それでもまだ、彼の涙が途絶える事はない。延々と流れ続ける涙が、乾いた地面を点々と濡らす。
かなり痛々しい光景だった、でも今は、彼の話に耳を傾ける事しかできない。それくらいしか、彼の心を落ち着かせる手段が見つからなかった。
生前の世界でも、『虐待事件』はニュースでよく取り上げられていた。それくらいの社会問題になっていた。
やっぱりこの世界にも、似た様な問題があったのだ。しかしそれは、人間の思考がどの世界でもそう変わらないから起こる、哀れなくらい奇妙な定義。

「・・・私はね、ユキナさん。
 生まれた時から、ずっと城の中で生活していました。・・・いや、正確に言えば、城の中の
 『地下室』
 そこが、王女の一族として生まれた者にのっての『世界』でした。外界とは一切関わりを持た
 ず、ただただ魔術の勉強と兵器の開発をするだけの、単なる『操り人形』でしかありませんで
 した。

 ・・・でも、それでも私にとって、母が全てでした。母さえ幸福になれば、自分の身はどうで
 もいい・・・と。
 しかしそれは、私だけの意見ではありません。王族全員が抱いていた、哀れで愚かな思考です
 よ。そう思う事でしか、生きられなかっただけなのかもしれませんが。
 ・・・その方向性に違和感を感じたのは、『事後』でしたよ。もうその頃には、取り返しのつ
 かない結果しか残りませんでした。」

「でもシーズさんの母親が女王様なら、シーザさんは実質『王子様』って事になるから、多少の
 自由はあったんじゃ・・・?」

「確かに私は女王の息子ではあった、でも即位する事は叶わない。」

「・・・まさか、あの噂って本当だったの?」

ヌエちゃんが、急に何かを思い出した様な口調で、私達の話に入り込む。
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