DIYで魔法世界を再建!
基本的に、父は島内でも本土でも仕事をする。大工なんて時代遅れだと思われそうだけど、思いのほか需要がある。
特に昔の建物を修繕するのは、やっぱり昔ながらの技術を用いる大工の方が、より再現度の高い仕上がりになる。
それに、日本の伝統工芸を重んじる大工にしか出せない、日本家屋の渋さは、今も人々の間で愛されている。
それに、大工の仕事は家作りや神社の修繕だけではない。ちょっとした家具も作って販売する。大きな家具であるベッドやテーブルはもちろん、収納機能がついた踏み台などの、アイデア満載の小物も作る。
近ごろはDIYが流行っているけど、やっぱり素人だと出来る作品にも限界がある。ちなみに父の作品は、本土のコンテストで何度も賞を受賞している。
父は若干大雑把で、抜けている所はあるけど、そうゆう技術に関してプロだ。父は年に一回程、島の小学校で特別授業の顧問もしている。父がOBでもあるからだ。
今はネット販売という手段もあるから、何かと父も慌ただしい日々を過ごしている。そのネット販売の知識を父に植え付けたのは、俺達『3人』なんだけど。

「まさか・・・そこで見たのが『神様』って事?」

「いやいやお父さん、昔っからお父さんは暗示にかかりやすいタイプではあったけどさ
 ー・・・」

「だから話は最後まで聞けって!

 ・・・目が覚めたらな、父さんは『真っ白な空間』にいたんだ。」

「『真っ白な空間』??」

「あぁ
 でもさっきまで、休憩所で一休みしていた筈だったのに、なんでこんな所に・・・?
 って思ってたらな、横から急に『男の人』が話しかけてきたんだ。
 最初見た時は、人間だと思ったんだよ。だって外見がほぼ青年だったからな。でも、彼の言
 っている言葉で、彼が『神様』であるという確信が持てたんだ。」

「どんな外見だったの? 髪の色とかは? 目の色とかは?」

「髪の毛は・・・至って普通の黒。そこは俺達と同様だった。・・・でも、今思い返すと、瞳の
 色がすごく綺麗だったんだ。まるで澄んでいる真水みたいに、キラキラしていた。

 ・・・でな、彼が第一に発した言葉がな

 「君の長女は、まもなく深い海に沈むだろう」・・・ってさ。」

「っ?!!」 「それって・・・!!」

俺も姉ちゃんも、机を叩いて驚いた。さっきまで胡散臭い話に思えていたけど、一気に信憑性が高まって、もう疑う事をやめてしまった俺達。
< 19 / 223 >

この作品をシェア

pagetop