DIYで魔法世界を再建!
キィィィィィン!!!

「もう・・・死んでよ。」

スパンッ

私の口から発せられた言葉は、あまりにも残酷で、あまりにも短い、そのたった一言に、私の感情の全てが詰め込まれていた。
女王様の攻撃を塞いだ剣を横に振り払うと、簡単に女王様の腕は取れてしまう。しかしその断面は、虚無しかない。空っぽの筒にしか見えなかった。
そして、私の足元にあった、最後の魔法陣の動力源。私はそれを、剣で突き立てた。それを止めようとした女王様は、意識を取り戻したシナノ様によって妨害される。

ワァァァァァァァ!!!

最後の動力源が砕けた瞬間、魔法陣から歓声のような音が噴き出る。そして、女王様の体からは湯気が噴き出ていた。
だが、今はそんな事どうでもいい。私の足元には、その最後の瞬間を見守ってくれていたシーズさんが横たわっている。
でも、シーズさんの表情は、とても穏やかだった。悔いは残っていない・・・とでも言いたい様子で、私達を見つめている。
その表情が、更に私達の涙腺を熱くさせる。全てにケリがついた筈なのに、一番の功労者がこんな形で辞退してしまうなんて、残念なんて言葉では片付けられない。
私のショックも大きいけど、ヌエちゃんのショックも大きい様子。彼女は懸命に首を横に振りながら、何度も彼に向かって謝り続けていた。
私とヌエちゃんは、涙を流しながら彼の体を起こしてあげる。でも、出血が止まらない。深く切っているのか、意識を保っているだけでもやっとな状況。
私が彼の首元にローブを巻いて止血させてあげようと思ったけれど、シーズさん自身が私の手を握り、それを止めた。
その手からは握力を感じるけれど、その力も、すぐに途絶えそうで怖くなる。私は彼の手を握り返す、彼の手が潰れてしまいそうな程、強く。
彼の手は、骨まで脆い感覚がする。それくらい彼が追い詰められ、苦しんでいたのだ。それを打ち破る為に、身を投げてもいいと思えた。
呪縛から解き放たれるのが、例え死後だとしても、彼は満足なのだろう。でも、私達が満足しない。むしろ不服だ。
ヌエちゃんは彼に怒鳴りつける声量で名前を呼び続けている。彼女自身も、シーズさんの傷が深い事は分かっている筈だ。だとしても、受け入れたくない心境が勝っているんだろう。
< 203 / 223 >

この作品をシェア

pagetop