DIYで魔法世界を再建!
終章 千年の時を経て・・・
「そして、『ユキナ様』や『ヌエ様』が目覚めたのは、この教会だったんだよ。」

「・・・それが、私達の『祖先』が、『怪物退治』をした話?」

「ぶっ飛びすぎた話ではあるけど、筋は通ってるよね。面白かった!!」

最初は嫌々聞いていた私達だけど、聞く度にその物語に吸い込まれていった。『弟』に至っては、「早く続きを聞かせて!!」とごねていた。
普段は仕事である『DIY』しか頭にない父に限って、祖母の話をする時だけは饒舌になる。それくらい祖母との思い入れがあるのかもしれない。
『飢獣』なんて『化石』でしか見た事がないし、『荒地』なんて見た事もない。弟は化石探しや遺跡探索に明け暮れているけど、私にはよく分からない。
でも、ユキナ様が築き上げた生活の基盤は、今でもしっかりと使われている。
『ドドルイ』は、今でも灯火として活用されている。今ではスイッチ一つで火が灯るようになった。取り外しも簡単になったし、簡易型や長期保存型等の亜種も生まれた。
今ではドドルイを生産して扱う家を、尊敬の念も込めて『ドドルイ一家』と名付けている。私の『ユキナ一家』の肩を並べる程の豪族だ。
まぁ『豪族』なんて言い出したのは私達一族ではない。自然の成り行きによって、いつの間にかそう呼ばれるようになったとか・・・。
『ナタギリコッコ一家』も有名だ。ドドルイ一族は照明の専門として有名だけど、ナタギリコッコ一族は、調理器具の専門だ。
昔はその果物の殻で鍋しか作れなかったけど、今では食材の入れ物や薬品調合の器具としても重宝されている。また、『湯浴び』をする為の大きな『タヴ』にも使われている。
殻そのままの形を使うものもあれば、一旦砕いて組み合わせたり、『耐火の油』を抽出したり。用途のみならず、制作方法も昔と比べてかなり増えている。だが逆に考えると、それを一から考えた、私の祖母がどれだけ凄い人物だったのかも垣間見れる。
そしてポカピカの石の活用方法は、意外な形で変わり続けている。父の話によると、ポカピカの活用方法を研究していたユキナ様は、ポカピカを『魔力貯蔵品』としての使い道を導き出した。
どうやらポカピカが発光する仕組みは、人間に宿った魔力を通じて起こる現象だったんだとか。魔力は生き物の皮膚からでも息からでも、わずかではあるけど発生する。その僅かな魔力に反応して発光する。ユキナ様はその仕組みを逆手に取り、魔力を貯蔵して難に備える取り組みを進めた。
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