DIYで魔法世界を再建!
私の祖先も、私達一家と親交が深い『ヌエ一族』も、最低限の魔力で生活できる環境を整え続けた。その成果は凄まじく、私達の生活の基盤は、全て父の話してくれた2人によってもたらされたもの。
そして、魔力を使いすぎるとどうなるのかも、父が物語にして語ってくれた。父は魔力の尽きた土地、『荒地』
しかし、既に父が物心ついた頃には、もう荒地が殆ど残っておらず、父ですらも見た事は一度もないそう。しかし、ヌエ一族がその光景を『絵』として残してくれた。
その絵を初めて見た私は、恐ろしくてその場に固まってしまった。弟は強がっていたみたいだけど、後々になってから震えが止まらない始末。
それくらい『荒地』という場所は、恐ろしい場所であった。故に、その光景を『過去の遺産』として捉える事ができる私達は、幸せな方だったのだ。
私の先祖は、この土地を少しずつ緑に変え、遠く長い年月を経て、やっと荒地の収束に行き着いた。そこまでに一体どれほどの労力、どれほどの犠牲があったか・・・。
植物も生えず、地面は乾き、空も真っ黒、その地帯に生息できるのは、飢えた獣のみ。行く宛てもなく、飢えに苦しむだけの、悲しい存在。
父の話によると、飢獣にも多様な種類があったらしいけど、絶滅してしまった今となっては確かめる術がない。見てみたかったけど、きっと父が怒る。
荒地が減ってからは、動物や植物の種類も増え、『動物飼い』である私は、日々新種を追いかける毎日。ただ、この毎日があるのは、祖先が旧時代の歴史を葬ってくれたからだ。
ユキナ一族である私は、周りからもチヤホヤされている。その態度が嫌になる事はあるけど、自分の祖先を嫌った事なんて一度もない。
私はユキナの一族として、とても誇り高く、とても誉な存在である。祖先の功績を胸に抱きながらも、こうして私達は、日々平和な暮らしができるのだ。
人口も昔と比べてだいぶ増えた、勤められる職業も増えた、生活もどんどん多様化している。今日はどんな出来事があるのか、どれほど進歩できるのか、毎日がとても楽しい。
まさかこの一帯が林だったなんて想像もできない。今ではしっかりと整備がされている、ちゃんとした『町』へと変わっている。
自然もしっかり残しつつも、『DIY』の聖地として、多くの職人がこの町に滞在している。父はそんな職人達の親分的存在。
材料を調達する際は、自然に対して敬意を払う事を忘れない。石を採取する場合は小川に頭を下げ、木を採取する場合は林に頭を下げ、時々果物や作品をお供えしている。
この前なんて、その義務を怠った部下をぶん殴って、大騒動になった。その後、私や弟がその家に謝りに行ったのは、言うまでもない。まぁ向こうも反省してくれたから、それ以上の言及はしなかったけど。
< 220 / 223 >

この作品をシェア

pagetop