DIYで魔法世界を再建!
『バリィン!!!』と、林の中で破壊音が響き渡る。その反響は、どこまでもどこまでも、林の向こうにまで響いていた。
周りに残ったガラスを丁寧に叩き割り、慎重に中へ入る。扉がガッチリ閉められていたおかげか、中はそれほど荒れてはいなかった。
沢山のベンチが並び、奥には『神様』と思われる石像が祀られている。その姿は、日本の如来像や狛犬とは異なり、何かにシンボルの様に見える、複雑怪奇な形。
生前世界史で読んだ、神様の顔を知る事が禁じられた宗教、あれと同様だろうか・・・?
まぁ神様の顔なんて、あるのかないのかすらも分からない。そもそも人間の姿をしているのかすらも分からない。それは単なる、人間の『想像』でしかないのだから。
私の家はHさん一家の様な宗教家族ではないけど、そこそこ信仰深い方だった。父の仕事の関係もあって、私達3人も、年に数回は神社に行って、色々と祈願していた。
元日はもちろん、天気が良い日、めでたい事があった時など、行く理由は様々だった。本土の神社にも何度か足を運んでいる。
「いつかは全国津々浦々の神社を見て周りたいねー」なんて、昔父と話していたけど、きっと私がいなくても、3人で一緒に行ってくれるだろう。私はちょっぴり悲しいけど・・・

「・・・よし、原型は残しつつも、修理できる場所からまず手をつけよう。下手に手を出して神
 様から怒られちゃうのも・・・ね。」

私はそう言いながら、ひとまず持ってきた道具をその場に放置して、まず教会内の片付けを始める。ゴミはそれほどないけど、埃がとんでもなく降り積もっている。
まず、外にある雑草を適当に抜いて、先端部分を箒代わりにする。本当は干草とかを束ねた物を使うのがいいんだけど、草が乾燥するまで待っていられない。
きっと教会の修繕をしている間に、辺りの整備も進んでいくだろう。どれくらいの範囲を整備すればいいのかはまだ分からないけど、まぁ他にする事もないし・・・

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