DIYで魔法世界を再建!
「ニャァー・・・」
「ウゥウー・・・」

私が呆然としていると、心配していた山猫達が私に擦り寄ってくる。よく見ると、その中の一匹が怪我をしていた。頭の部分に齧られた痕がある。
私は慌てて怪我をした山猫を教会まで運び、作っておいた薬草を塗ってあげる。この世界の傷薬は、人間にも動物にも同等の作用がある。それが幸いだった。
薬草数種類と水を混ぜ合わせるだけで完成させた物だから、効き目は薄いかもしれないけど、やらないよりはマシだと思う。
でもこの状況から、私を襲った山猫は、林に元々住み着いていた山猫とは違うのではないか・・・と思い始める。
そもそも、1匹だけが凶暴になるなんて、どう考えても不自然だ。何かの伝染病なら、他の山猫に感染してもおかしくない筈。
一応、怪我をした山猫と一夜を共に過ごしてみたけど、怪我をした以外には、特に変わった様子は見られなかった。
時々バラエティ番組などで、『狂犬病』の恐ろしさを特集していた。狂犬病は、引っ掻かれあり噛まれたりしただけでも発症してしまう。
そしてその感染症は、同じ哺乳類である『人間』も感染してしまう。しかも致死率がとんでもなく高く、まだ治療法も詳しくは樹立されていなかった筈。
一瞬、あの凶暴化した山猫を見た時、『狂犬病』にかかってしまったのではないか・・・と思ったけど、それにしては妙だ。
もし凶暴化した理由が感染症なら、噛まれた山猫だって被害を受ける筈。奇跡的に被害を受けなかった可能性もないわけではないけど、それでも納得できない。
もしあの凶暴化した山猫が、元々林に住んでいたとすれば、仲間である別の山猫達にも、更に大きな被害がある筈。なのに怪我をしたのが一匹だけだなんて、やっぱり不自然すぎる。
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