DIYで魔法世界を再建!
ファッ ファー!!!

港に近づくと、船が汽笛を鳴らす。その音に驚いたカモメ達は、一斉に船から離れていく。今日は特に運行の遅れもなく、余裕で高校に着きそうだ。
一応、島から学校に来ている人には、それなりの配慮がされる。けど、それに甘んじていても怒られる。私の通っている高校は進学校だから、島から学校へ通っている人は、私を含めると数名しかいない。
でも、進学校で一人ぼっちにならずに住んだのは、同じく島から通っている同級生・後輩・先輩のおかげだ。
進学校だから、一緒に遊べる時間はあまりない。ただ、往復中の船の中で、一緒に勉強したり、雑談をして楽しんだり、スマホでも協力プレイができるんだから、本当に今はいい時代だ。
最近流行っている『島造り』のゲームを持ち寄って、それぞれの島を紹介したり。皆は私の造った島を見て、「センスがいいね!」と言ってくれる。
ただ、私は『造る』事に関しては、ゲームでも『リアル』でも腕がある。そう自分でも思う。何故なら、今私の家にある勉強机は、私の自作。
それを聞いたクラスメイト達は疑問視したけど、実際の写真と作っている工程の写真を見せたら、口を開けたまま唖然としていた。
机なんて、案外簡単だ。大きな板と柱の四本をくっつけて、後は形を整えたり高さを調整すれば、あっという間に完成だ。
後は机の上に色々と継ぎ足していけば、更に個性が出る。教科書を立てかける設備も、試しに作ってみたら案外上手くいった。
その腕前を見込んで、去年の文化祭では、一年生にも関わらず、我が高校の文化祭の目玉である
、『舞台』の『背景』を担当させてもらった。
『舞台』は二・三年生のみの出展なんだけど、先輩達が私を見込んで、特別に許可を頂いたのだ。その代わり、私のクラスメイトの何人かにも協力を仰いだ。
頼まれた当初は、ちょっと嫌味を言う先輩や、冷たい視線を向ける同級生もいたけど、いざ舞台が始まると、その瞬間に観客席から歓声が飛んだ。私もそれくらい力を込めて作らせてもらった。
進学校の文化祭は、地味なイメージが強かったが、去年の文化祭は、地元の地域新聞にも取り上げられる程の大成功を収めた。

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