DIYで魔法世界を再建!
第十九章 突然の『来客』
「・・・そう・・・
 ユキナの生きていた世界でも、『戦争』があったのね・・・」

「いや、『あった』・・・というか・・・
 現在進行形で、戦争や紛争が起きている国もあるから・・・」

作業に集中すると、どうしても口を閉ざしてしまう。もっと精霊さんに聞きたい事があるけど、思いの外この作業が互いに楽しくなってしまい、気づけば互いに無言状態のまま、糸と睨めっこしていた。
やっぱり側で一緒に作業をしてくれる人がいるだけでも、やる気やモチベーションが上がる。父で例えると、大工仲間と同じなのかもしれない。
・・・きっと、私が海へ消えてしまった事で、父の大工仲間も悲しんでしまうだろう。よくお世話になっていたから、父の大工仲間の顔と名前は全員覚えている。
彼らに恩返しができなかった事も、悔やみの一つである。恩返しの具体的な計画は考えていなかったけど、せめて私がお金を貯めて、皆さんを温泉旅行にでも連れて行きたかった。
父は母が亡くなってからは、身を粉にして働いてくれた。副職として、手製の木製アクセサリーや小物をネット販売したり。
私が新学校へ入学する事になった時には、涙を流しながら喜んでくれた。それは入学金が免除される事に対してではなく、私の努力と頑張りを讃えた、力強い涙だった。
そして、私が新学校へ行く事を喜んでくれたのは、家族だけではない。父の大工仲間一同が、私の為に大きな本棚を作り、『入学祝い』と称してプレゼントしてくれた。
これからその本棚を使うのは、妹か弟になりそうだけど、私は一向に構わない。あの本棚はとても頑丈だし、本や参考書がいくらでも詰め込める。
これから高校を受験する二人にとって、これほど良い家具はないと思う。
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