DIYで魔法世界を再建!
夢中を彷徨うユキナ 2片
いやいや、今はそれどころではない。集団の3・4人が、行き止まりの壁に向かって、何やらゴソゴソと作業をしている。
説得に応じている女の子は、涙を必死に堪えている様子。よく見ると、女の子の手はマメだらけで痛々しく、目にもうっすらとクマができている。
大人であればどうという事はないのだが、それがまだ幼い子供とあれば大問題だ。よほど勉強熱心なのか、それとも誰かの強制なのか。
女の子の両親から察すると、恐らく後者だろう。女の子の父が言っていた言葉からも、何となく想像できる。
恐らく此処は、終末戦争の引き金となった、片方の国。まだ国としては成り立っている気はするけど、それでも私の目からすれば、破滅はかなり近いと思う。
何故なら、国の兵力が足らずに、こんな幼い子供すら利用するくらい、国はジリ貧なんだから。国がジリ貧状態になれば、当然国民も段々と生活基準が落ちていく。
この町で出会う人々が全員痩せこけていたのも、多分そのせい。きっと女の子は、国から正式な『兵としての引き入れ』があったのかもしれない。
しかし、それを両親が許さなかった。普通はそうだ。ただ、今の自国に逆らうとどうなるのかは・・・
大人がこそこそしている様子から、嫌でも分かってしまう。壁でゴソゴソしていた大人達が、女の子の両親に合図を送る。
すると同時に、今まで壁だと思っていた場所が光り出し、数秒の間に光がおさまったかと思いきや、そこにあったのは壁ではなく、『隠し通路』だった。
その隠し通路は、国の兵士でも把握できていないのか、かなり古くて、今にも天井が崩落しそうだ。中もだいぶ暗く、明かりがないと一歩すら踏み出せないだろう。
そんな恐ろしい場所を、幼い少女が突っ切る事ができるのだろうか?
正直、私では無理だ。ただ、女の子の両親はだいぶ必死だった。恐らく、『この道』しか選択肢がないんだろう。
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