DIYで魔法世界を再建!
第二十五章 賑やかになる生活
「でもユキナ、種とかはあるの?」

「林で取れる木の実や花の種子を植えてみるよ。木の実からも種は採れるし。」

ヌエちゃんの魔術は、とても『綺麗』だった。まるで彼女が水の流れを直接先導している様な、そんな光景。つい見惚れてしまった。
ヌエちゃんが、まるで日本舞踊の様に手先を滑らかに動かすと、それに呼応した小川の水が、流れを徐々に変えていく。幹から枝が生えていく光景を早送りにしてみている感覚。
小川という幹から、徐々に枝が生えていく。予め畑の予定地も教えている。そこに向かって、枝がぐんぐん伸びていく。
私は、ただ呆然としながら見る事しかできなかった。初めて見る魔術がこんなにも美しいものだったなんて、予想外すぎて自分自身に落胆してしまうレベル。
今までずっと、『魔法』や『魔術』を毛嫌いしていた事自体が、かなりの大損だった。やっぱり『本物』は違う。
横から見ていた精霊さんが、こんな言葉を呟いていた。「本来、『魔法』とはこうゆうものなの」と、何故か懐かしい目線をヌエちゃんに向けていた。
あぁ、そうか。生活を便利にする魔法こそ、魔術の『基礎』に値する部分。それがどんどん進化した結果、人を傷つけたり、苦しめたりする魔法に派生してしまった。
多分、相手を攻撃する魔法が使えるのは、人間『のみ』なのかも。何故なら魔力の塊である精霊さんが、飢獣に対して攻撃する魔法を放った事は一度もない。
魔力の扱いに長けている精霊さんであれば、私が最初に出会った飢獣なんて、一撃で仕留める事も可能な筈。
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