OLユンファ。闇の左手。
量子通信
[量子通信]

あたしはのんびりと路地を歩いていた。
行き交うひとびと。新聞売りや水売り、電力販売人。群れなすサラリーマン。

惑星オールドルナは輸出により徐々に金融資産の元手を集めつつあった。銀河中央ユニオンが技術的に主導する量子通信により、株価や債権の市況価格などが銀河中に送信されている。

で、あたしは野菜やお肉を買いに行く。首都西町地区はシンプルな市場が子羊のラムやチーズ、果物を売っていた。南洋からの魚は干し魚とされた。首都のまわりには太陽光発電施設が建設されている。大気からは水が取り出された。

カリグラフィ教室を思い出す。

最先端技術と古典文化をあたしたちは行き来している。そのギャップをこころのどこかでなにか心地いい、と感じながら。
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