やわらかな檻
 後ろから聞こえてくる声。
 後ろから伸びる腕。


「――っ。友人、よ」
「ならば、言っておいて下さい。二度としないようにと」


 しゅるり、紐がほどかれた。
 そして、おそらくその下の白いヘアゴムも。


「貴女も頭が足りませんね。同じ、蝶結びにしておいて貰えば良かったものを」


 ふわり、結ばれていた原型を止めながら。
 髪が広がる感触。
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