幼恋。
私たちが安堵した時
架子ちゃんの後ろの廊下からひょこっと顔を出した人物にみんな少なからず焦った。
「叶!当番交代の時間…て、架子…」
そう大声で叶ちゃんを呼びながら入ってきたのは旬佑先輩。
旬佑先輩も架子ちゃんを見ると一瞬固まったけどすぐに笑顔に戻す。
「旬佑当番だったの?」
「うん、もう交代だけどな!」
架子ちゃんと旬佑先輩の会話はまるで何も無かったかのように普通で、凍りついていた空気もほぐれるのが感じられた。
「じゃあ僕行くねおりちゃん」
「うん、付き合ってくれてありがとう叶ちゃん」
「じゃあ俺らも交代だぞおりは」
「うん、ありがとう椛、有澤くん」
空気がほぐれたのを見計らったのか、叶ちゃんと椛と有澤くんは教室から出ていく。
残ったのは私と旬佑先輩と架子ちゃんで
私は受付の席について2人を見守る。
「もし、架子が嫌じゃなかったら一緒に回ろう」
旬佑先輩は勇気を振り絞ったのか、架子ちゃんにそう訪ねると
架子ちゃんは眉を八の字に曲げた。
「でも、本当は当番私だからおりはと変わろうかと思って…」
「私なら回る人もいないし大丈夫だよ?
行きたかったら旬佑先輩と回ってきて?」