幼恋。
なんで俺はもっと強くないんだ。
なんで守れなかったんだ。
なんで…。
俺はあの光景を思い出しては狂いそうになるのを何とか堪えた。
「絶対に見つけ出そうな」
「ああ…」
苦しい。息が上手くできないみたいだ。
俺が守られてどうするんだよ…。
こんなダメな彼氏でゴメンなおりは。
俺はそんなことを思いながら俯くと、叶が俺の頭を撫でてきた。
「椛が悪いわけじゃないよ。
大丈夫、おりちゃんは絶対に見つけ出すから」
叶だってあんな話聞かされたら辛いはずだ。
それなのになんで優しくするんだ?
なんでみんな優しくするんだ?
なんで俺を責めないんだ?
むしろ責めて罵ってくれた方がマシだ。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか
俺の父親が珍しく口を開いた。
「彼女1人守れないなんて男としてどうなの?
しかもこんなことになってもうおりはちゃんトラウマだよ。へたしたら死んでるかもしれないんだよ」
「わかってる」
「もうお前に守る権利なんてないよね」
いつもならこんな時ばっか父親面するなと思うだろうが今回ばかりは項垂れるしかできない。
母親は言い過ぎだと父親を制すが俺はそれでよかった。
俺は彼氏失格だ。