幼恋。




叶ちゃんのおかげで無事カレーを買えた私は、冷めないうちに椛に届けようと自分のクラスへやってきた。



教室には椛と有澤くん以外だれもいなくて、受付にも数人の名前しか書かれなあとはない。



一生懸命準備したのに残念だなぁ…。



そう思いながら、ケータイゲームをする2人に声をかける。






「椛、カレー買ってきたよ」






ゲームをする椛に渡すと、中断して椛は受け取る。

その横で有澤くんがハイハイ!と勢いよく手を挙げた。






「俺にはないの〜?」






有澤くんは少し口をとがらせてそういうのが面白くて少し笑ってしまったけど
叶ちゃんが買ってくれてたから、叶ちゃんが差し出すと

目をキラキラと輝かせる。






「やった〜椛の兄ちゃん優しい〜椛と違って〜」



「はぁ?」



「あはは、うそうそ〜」






早くもカレーを食べ始めていた椛と嬉しそうに焼きそばを開ける有澤くんの会話を聴きながら

叶ちゃんとここで食べようかとアイコンタクトをして自分たちもその場に座ってカレーを開けた。



パクパクとご飯を食べながら、叶ちゃんが有澤くんを見て口を開く。






「有澤くんは彼女いないの?」






叶ちゃんが珍しく自分から恋愛の話をしてくるのは珍しいなと思いながらも

確かに有澤くんのそういう話も聞いたことないし、見たこともないから気になるなぁ。






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