いつでもキミが


「こんの、いち…?」

そこに書かれた名前は紺野一という文字。

知らない人だ……なんでこのイケメンは私を見てこんなに驚いたんだ?
それにこの人近くで見ると更にイケメンだな??

ちょっと無愛想な感じもあるが、切れ長の目に鼻や顎はシャープで喉仏がいい感じに出ている。スタイルも良く身長が低めな私からすれば見上げないと表情がわからない。
しかし雰囲気からしてどこかのアイドルグループにでもいそうな感じだ。

ははーん……体育館の入り口あたりにたまっている女子の集団はこのイケメンが目当てか……

「…よく言われるけど、一って書いて"はじめ"だから」

「……あぁ!まさか、きんだい…うぐっ」

私が言おうとした言葉を遮るように、大きな手で口元が覆われ無理やり言葉を飲み込まされた。

「それもたまに言われる」

その悟ったように焦る反応が面白くて、手が離れたと同時にまた喋り出してしまう。

「じっちゃんのなにかけ…うぐっ」

「おい、わざとか?」

「ひひひひっ」

やっぱり反応が面白くて、口を覆われているというのに私は笑っていた。
普通は初対面の人に顔を触られるなんて嫌なはずだけど……

私が笑っていると気味悪がられたのかすぐにその大きな手は離された。

「じゃあはじめちゃん、だ?」

「馴れ馴れしいな」

「はじめちゃんは何で私のこと見て驚いたのさ?」

「なんでって…髪が」

「あ、髪?こっちのほうが動きやすいしスッキリしていいと思って昨日切ってきた」

はじめちゃん私のこと知ってたんだ。
そりゃあオリエンテーションでもあんな叫んで悪目立ちしたからな……


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