いつでもキミが
「…バスケ部は?なんで今入る気になった?」
「はじめちゃん、なんか怒ってる?」
「怒ってねぇ。けどすぐに入部しなかったのは入るつもりなかったんだろ?」
怒ってないとは言っても、そのはじめちゃんの声のトーンと口調がどうしても怒っているように聞こえてしまう。
「もし私がこんな時期に入ってきて、中途半端なやつだってイラつかせたんなら謝る。
必死に毎日練習してる人にとっては邪魔で迷惑だとおも」
「そうじゃない!」
「!?」
「そうじゃねんだよ……誰かのために、諦めようとしてたんじゃないのか…?」
誰かのために、諦めようとしてた…?
私を見つめる彼の目からそらせない。逃れられない。
なぜならその目は哀しそうでいて、どこまでも優しい目をしてたから。
あぁ、これは私のためを思ってる目なんだとすぐにわかる。
その綺麗で優しい目に胸の奥が温まっていくような気がした。
「はじめちゃんは、私がバスケやりたかったこと知ってるんだ」
なんで知ってるんだろ?
知ってるの鞠くらいだけどな……
ん?んん?
そういえばはじめちゃんて、どっかで見たことあると思ったら…ヤギさんとたまに一緒にいたじゃん!
今思い出すってどんだけ影薄……いやいやこんなイケメンが影薄いはずないわ。
違う…ただヤギさんが存在感ありすぎだっただけだ。
結構程よく体格もいいし、私の目がヤギさんを追いかけていた証拠。
「はじめちゃんてヤギさんと友達?」
「……幼なじみだけど」
「ほうほう、幼なじみだったのか。なるほど」
私ヤギさんのこと好きだとか初恋とか言いながら、なんも知らないじゃん……
結局恋愛自体、私は向いてない。あそこの入り口付近でたまっている女の子みたいに可愛くもできないし。