いつでもキミが
「……はじめちゃんて、…心を穏やかにしてくれる、安定剤みたいだ……ズズッ…飲んだことないけど」
「………なんだそれ…」
涙と共に出でてくる鼻水を啜る私に、まるで"それでもいいよ"と、小さく笑うはじめちゃんがまた優しくて。
「私…こんなんじゃなかったのに……こんなすぐ泣くような…っ」
「やっと少しは自分のために動けるようになったんだろ」
「…っ!」
その瞬間頭に大きな何かが乗せられて、じわじわと温かくなっていく。
彼から伸びた腕で、それがなんなのか私はすぐにわかった。
あったかくて、くすぐったい。
心臓がドキドキする。
「無理して強くなんなくたっていいんだ。少なくとも俺の前ではさ。
あんな風に比べられて捻くれなかった繭はすごいし、もっと自分のこと褒めていい。
もう十分繭は強いってこと、こっちは嫌になるほどわかってんだから」
そうやって優しい言葉をくれるから、心がまた絆されていく。
はじめちゃん依存症になったらどうしてくれるんだ……
そんなことを思いながらも、はじめちゃんの一つ一つの言葉が嬉しくて涙は止まらない。
あー…ほんと、こんなに泣くような私じゃなかったのに……
「あ〜〜…つーか、あいつら完全にやられてたわ…クソ……」
「わっ、ちょっと、何すん…だ!?」
はじめちゃんは小さく何か呟きながら、私の頭をわしゃわしゃにする。
おかげで髪の毛はボサボサになった。
今はショートカットだから平気だけど、こんなこと普通女の子にはしないだろう。
そんなこと、わかっていた。
わかってたけど……
" はじめちゃんにも私は女子として見られてないんだ "
そう思ったと同時に、チクっと針が刺さったような痛みが体を走ったような気がしたのだった。ーー