いつでもキミが


「知ってたんですね……」

「あ、ごめん。思わず」

先輩はまるでしまった、と言うように口元を手で抑える。
私がヤギさんに告白したことを知っているのは、鞠と優菜、そしてはじめちゃんしかいないはずだ。
はじめちゃんに黙っといてくれと言われてたんだろうか。

「ヤギさんのことは、好きです」

ヤギさんは私の初恋だった。
それは確実に恋であり、あの日私は失恋したのだ。

「今でも人として尊敬してるし……大好きだけど」

「けど?」

「…先輩が恋愛感情で好きか聞いてるんなら、もう好きじゃないです」

「うん。だよね」

「第一今は鞠の彼氏ですし、吹っ切るために告白したんで」

おかげで完全に吹っ切れている。
だからこれからはバスケに生きようと思った。

そう、そうなのだ。
それなのに、どんな時でもいつでも、私の中にいてくれる……

そんなはじめちゃんの姿が頭に浮かぶ。

「なんでそんなこと聞くんですか?」

「ん?どっかのおバカさんに思い込みの激しい奴がいてね」

「はあ…」

思い込みの激しいおバカ…?
先輩の周りにはおバカっぽい人が何人もいて誰かはわからない。


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