天然お嬢と双子の番犬さん



見えない癖に、前に持ってきてからグーパーを繰り返す。

手首も触ってみたけど何もない。



やった!これで目のやつが外せる…。




「何勝手に外そうとしてんだ?」




ゾクッ!


真横。耳のすぐ近くで囁かれた。全身を駆け巡った感触は指先までも震えさせた。



「み、みなと?何処にいるの?」



直ぐ近くにいるって事は分かる。
だけど───、

気配が…全然しなかった。物音もない。



今だってそう。
全く感じないの。



「さっきは何に怯えてた?」



また、近い。



「っ、だって…何か当たって、」

「フッ…同じところにキスしただけだろ?」



そう、なの?


───サラッ、
耳に掛かる髪。


近付く吐息。



「ひ、ゃあ!!?」



くすぐったい感じが耐えられず、勢いよく顔を逸らした。


…が、直ぐに向き直される。
きっとここが正面で───。



「何処向いてんだ?」



湊がいる位置。





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