どうしているの?ねぇ、先輩…
「仕向けたんだよ、美香が家を出るように。先輩にもう二度と会わないように」
「……」
「実際その通りだと思ってたから。高校生にどうにか出来る問題じゃなかったし、ましてや大学に行く先輩には、あの時のあいつの人生背負えるわけないって思ってた」
「っ……」
泣き喚いて、暴れてケガをしてた。
俺のことを、信じてずっと待っていた……
想像したら、今までの後悔なんてどれほどちっぽけだったんだってぐらいの、でかすぎる後悔が体中を飲み込んでいった。
「俺は元々高校に進学するか迷ってたような人間だから、あいつが辞めるって言ったとき、なんの迷いもなく同じ道を選んだけど。……でも」
「……」
「そうまでしても、あの頃となんも変わってねぇのな。俺も、美香も」
「それって、」
「安心した?俺らがそういう関係になってなくて」
「、…」
自嘲気味に笑った“章くん”が、ポケットからメモ帳とペンを取り出して……
スラスラとなにかを書いたあと、破いた紙を俺に渡した。
「これ……」
「美香の職場」
「!」
書かれていたのは、書店の名前と地図だ。
「ありがとう」
「先輩の為じゃなくて、美香の為だけどね。あと、あのときの罪滅ぼしってことで」
そう言って笑った章くんに、ぎこちなくだけど俺も笑って、
俺たちは初めて、互いに笑顔を見せ合った。