どうしているの?ねぇ、先輩…



「いいよこんくらい」って言う先輩に、「ダメです!」って無理矢理タクシー代を払ったあと、1人車から降りた。



「……」


ここで別れたら、また会えなくなるのかなって。

春なのに少し肌寒い風に吹かれて悲しくなった。


けど。

振り向いたら、私に続いてタクシーから降りてくる先輩がいて……

バンってドアが閉まったあと、エンジン音を響かせタクシーは消えていった。


「ちょっと上がっていこうかな」

「えっ」

「って言いたいとこだけど。熱あるし、今日は早く寝て下さい」

「……」


なんだ、上がっていかないのかって、肩が自然と落ちる。


「それに俺も帰って明日までのレポートやんなきゃだし」


あ……

瞬先輩、大学4年生だよね?

忙しいのに迷惑かけちゃったんだ。


「だから今日はこのまま帰るけど」

「…けど?」

「……」

「…?」


そこで途切れた会話に先輩を見たら、なんだか言い辛そうに後頭部の髪の毛を触ってる。



「なんつーか、また会いたいから。………………連絡先、聞いてもいーっすか」

「……」



途切れ途切れに聞こえたその声が、

なんだかものすごく可笑しくて…



「ふっ……ふふふ」



笑いを、堪えられない。


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