強盗返し
「分かった、君の言うことを信じるよ。僕から言わせてほしい。子供の頃からずっと君のことが好きだ」

 欲しかった彼の言葉に心臓が早くなる。顔がどんどん熱くなり、呼吸も早くなる。
私も返事を返そうと口を開いた。

「わ、私もずっと好──」

 そう言いかけて私は激しく咳き込んだ。焦りすぎて上手く呼吸が出来ないせいかと思ったが、何かおかしい。
 深呼吸をしようにも荒い息を繰り返して喉がヒューヒューと変な音が鳴る。
 顔も何だか痒くなり、それがだんだん痛みに変わる。痛みは酷くなる一方で私はその場に倒れてしまった。
 そんな私を彼は目を見開いて、すぐさま抱きかかえる。

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