強盗返し
「なるほど、トラブルは彼自身が作っていたのか」
「それと彼は解決するたびにこう言っていたみたいです。『俺は主人公だから当然だ!』と」
「現実と空想の区別もつかなかったのか。それで命を落とすとは哀れな男だな」

 若い警察官の言葉に壮年の警察官が大きく溜め息を吐いた。
 この事件はメディアに報道され、男子生徒の異常な振る舞いも世間に知られていった。そして報道を見たとある無名の物書きが、それを元に短編小説をネットにアップした。
 これで男子生徒は晴れて主人公になったのだった。

 終わり
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