分岐点  ~幸せになるために

金曜日。待ち合わせた 駅中のカフェで。

私は 先に着いて スマホを見ていた。


「すみません。待たせて…」

急いで来たのか 息を切らせた頼太が 

私の前に 腰を下ろす。


「頼太… すっかり 社会人になって…」

大晦日に 実家で会った時は 私服だったけど。


仕事帰りの頼太は 当たり前だけど スーツ姿で。


「今年で 社会人3年目ですから。これでも。」

「フフフッ。ホントだね。あの小さかった頼太がねぇ。」

「もう。止めて下さいよ。それより 出ませんか。俺 食事 予約しておいたから。」

「えーっ。頼太…」


カフェを出て 並んで歩き出すと

頼太は 私より ずっと大きくて。


さり気なく 人並から 私を庇って歩く。


そっと 頼太の横顔を 盗み見て。

私は 初めて 頼太に 男性を感じた。






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