分岐点  ~幸せになるために

頼太が 予約していた店は 洒落たフレンチ。


最初は デートのような 雰囲気に 

居心地悪さを 感じたけど。


食事を始めると お互いに 打ち解けて 

昔話しに 花が咲く。


「頼太 身長伸びたよね。あの頃は 一番小さかったのに。」

「180cm ありますから。もう チビって 言わせませんよ。」

「ホント… チビじゃないし。すっかり イケメンになって。モテるでしょう?」


「モテませんよ。俺 不器用だから。」

「嘘よ。今日だって ちゃんと予約してくれたじゃない。」


「沙耶香さんに 失礼がないように 気を使ったんです。」

「プッ。あの頃 散々 失礼なこと したもんね?」


「はい。『沙耶香~! 麦茶~!』って。」


飾らない時間は 私を素に戻してしまう。


押し問答の末 頼太に ご馳走になってしまった私。

「ごちそう様。この次は 私が 奢るからね。」


「えっ。本当ですか?」

頼太が 嬉しそうな顔をするから。

「もちろん。頼太に 奢られたままじゃ 困るもの。」

奢られることを 喜んでいるって 私は思ったけど。



頼太は タクシーを拾って

私を 部屋まで 送り届けてくれた。


んっ? これって 恋人みたいじゃない?


ずっと前から 知っている 弟の友達なのに。






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