分岐点  ~幸せになるために

「ご無沙汰してます。杉野です。」

「沙耶香ちゃん。大きくなって。早く 上がって。」


看護師をしている 頼太のお母さんは

テキパキと 歯切れの良い口調で。


まだ 固い私を 頼太は クスッと笑う。


「昨夜 沙耶香ちゃんのこと 聞いて。頼太を 褒めたんだよ。良い子 選んだなって。」

優しい雰囲気の お父さんが 笑顔で言う。

「本当よね。東京にいるから。どんな素性の子と 結婚するか わからないじゃない? すごく心配だったのよ。でも 沙耶香ちゃんなら 安心だから。お父さんとお母さんも 良い方だし。」


「まだ 結婚の話しとか してないんだけど…」


頼太は 狼狽えて 私を見る。


「ヤダ 頼太。何 グズグズしてるの?」

「そううだよ。俺達に 紹介するって 結婚するつもりだからだろう?」


「まぁ そうなんだけど。取り合えず 今日は 沙耶香を 紹介するだけのつもりだったから。」


「紹介も何も。沙耶香ちゃんのことなら よく知ってるじゃない。」


明るいご両親の 好意的な言葉に

私は 緊張の反動で 涙汲みそうになっていた。








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