分岐点  ~幸せになるために

しばらく 頼太の家で 雑談して。

「じゃ 俺 沙耶香を 送ってくるから。」

そう言って 立ち上がる頼太。


「頼太。ちゃんと 正座して ご挨拶するんだよ。」

「わかってるよ。子供じゃないんだから。」


頼太とお父さんの会話に 私は 笑ってしまう。


「沙耶香ちゃん。頼太をお願いします。この子 お調子者で おっちょこちょいだから。」


お母さんは そう言って 私の手を握る。


「そんなこと ないですよ。すごく しっかりしてて。頼りになります。」


「良かったね 頼太。頼りになるって。」

「まあね。俺 本当は しっかり者なんだよ。」


「また 調子に乗って。沙耶香ちゃん。頼太 すぐ調子に乗るから。その時は ガツンと言っていいからね。」


何だろう… この 温かい空気は。


ご両親から滲む 頼太への愛情。

頼太の選んだ 私が

快く 受け入れてもらえた 安心感。


「お体 大切にして下さい。お正月には また お邪魔させていただきます。」


私も 素直に ご両親への感謝が 溢れて。

素直な言葉が 心から こぼれた。








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