囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。



 彼は以前から朱栞を知っているような口ぶりだった。
 けれど、朱栞は彼を知らない。彼は異世界人。ここに来たばかりなのだから、会う事もなかったはずだ。
 だが、彼が朱栞を見る視線は真剣そのものだった。


 「俺の両親が君を気に入っていたのは知っているだろう。それで、俺が君を知った。そして、話を聞いて会いたくなった。だから、実は君の居た世界に数回転移させてもらったんだよ。そこでパーティーに参加してみていたことがあった。君は自在にいろいろな言葉を使いこなし、話していた。とてもかっこいい女性だと思ったよ。魔法を使っているようだ、と。そこから、君と話をしてみたかった。そして、一緒に過ごしてみたくなった。そして、こうやって実際会ってみて、とても可愛らしい女性だともわかった。俺は君に惹かれているんだよ」
 「…………じゃあ、私がこの世界に転移するのを決めたのは、ラファエルさんなんですか?」
 「それを勧めたのは俺の意見もある。もちろん、それだけではないけど、否定はしないよ」
 「……契約で私と婚約しようと思ったんですか」
 「転移して、君の立場は一気に変わった。他の人に取られる前に俺が守りたいんだ。だから、手段は選ばないよ」
 「………」
 「それにシュリにとってもこれはいい条件だと思う。違うかな?」


 
 目の前の王子は、何を言っているのだろうか。
 異世界に連れて来て、婚約をさせるために条件をちらつかせる。
 これは優しく面倒をみてくれた王子の本当の姿なのだろうか。
 彼はこの契約を結ばせるために、転移してきた朱栞にいち早く出会い、優しく面倒を見てくれたのだろう。そう思えば、面倒なハーフフェアリを匿う理由もあるはずだ。



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