【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。



 その目が、わたしの目を捉えて離さなかった。

 「……っ、お願いだから、やめてください」

 そうやって優しくされると、彼に頼りたくなってしまう。彼に父親になってほしいし、その気持ちに応えたいとも思う。……だけどわたしには、出来ない。

 誰かに頼ってばかりいたら、自分じゃ何も出来なくなりそうだった。頼ることばかり覚えてしまって、いざって時に決断出来なくなる。……そんな気がした。

 「では、結婚じゃなくてもいいです」

 「……え?」

 「まずは俺とデートしてください。それでもし、俺のことをいいな、好きだなと思ったその時に、俺はまたあなたにプロポーズします。……なのでその時は、絶対にプロポーズを受けてください」

 「……え、でも、そんな……」

 そんな提案、受けられる訳がない……。彼に迷惑がかかることばかりじゃない……。そんなの申し訳ない。
 
 「お願いします。……俺もあなたのことを、もっとよく知りたい」

 「……はい。分かりました」

 
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