【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。




 「え?どうして……?」

 「わたしはそんなことを言ってほしくて、真実を打ち明けた訳じゃないんです。一人で生んで、一人で育てていきますから。……あなたにはもう、迷惑はかけませんので、ご安心ください」

 そう言って立ち去りたかった。なのにそれをさせてくれないのは、彼のその腕だ。ずっと腕を掴んだまま離してくれないのだ。

 「ダメです。……そんなのは、俺が許しません」

 「はい?」

 意味が分からない……。どうしてそんなことを言うの……?お願いだから、わたしを困らせるようなこと言わないでよ……。
 
 「俺はお腹の子の父親なんですよね?……だったら俺だって、この子の父親になりたいです。あなたとも、ずっと一緒にいたい」

 「……やめて。同情なんていりません」

 その言葉がどうしても、同情のようにしか聞こえなかった。同情されるくらいなら、一人で育てていく。そんなのに頼りたくない。

 「同情なんかじゃありません。……本気で、本気で、そう思ってます」

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