【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。


 フラレてから一週間、わたしの心の傷が癒えることはなく、哀しみだけがポッカリと残った。ポッカリと穴が空いたわたしの心は、いつまでも塞がらない気がした。

 家にいても思い出すのは、彼のことばかり。癒えない傷を抱えたわたしは、例えるなら、まるで羽根の折れた堕天使だ。
  
 彼のことを、わたしはずっと忘れることはきっと出来ないような気がする……。この先もずっと、引きずってしまう。そんな気がしていた。

 天使から堕天使になったわたしは、もう使い物にならない。
 






 そんなある時、わたしは彼と出会ったのだった。

 週末を迎える金曜日の夜、わたしはひとりバーお酒を飲んでいた。いつもなら金曜日は、仕事終わりに彼と会って食事をして、そして彼の家に泊まるのがルーティンになっていた。

 それがなくなった寂しさから、わたしはヤケ酒になっていた。もうどうにでもなってしまえ。そんなことを思いながらお酒を飲んでいた。できることなら、また会いたいなんて。おこがましいことを思ってしまう。
  
 
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