BLADE BEAST
眞紘の身体は細いのかと思えばかなり引き締まっていた。

どのくらい鍛えているのか、夏の薄着だからよく分かるのかもしれないけれど、ちゃんと男の身体をしている。

座高だってうんと高い。

身長もずっと高い。

そっか……眞紘も男なのか、と私は何の気もなしに思っていた。




「安全運転には心掛けるけど、」

「…ん」

「怖かったら、──言って」




バゥン……とエンジンが蒸される音。

アクセルグリップを回すと同時に徐々に動き出すそれを、私は何気なくとらえていた。

そうか。眞紘はこの街で有名なNo.2なのか…と、この大きすぎるバイクを操る姿を見て漠然とながらに思ったり。

どんだけ喧嘩が強くて獰猛で横暴な獣として有名なのかは知らないけれど、…眞紘の運転はそんなことは想像もつかないくらいに、


────優しく、丁寧なものだった。
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