BLADE BEAST
「俺は───見てるから」
耳元で丁寧に吐き出された言葉を聞いて、一気に何かが溢れ出したような気がした。
腕を回す力を強くする眞紘に、全身が震えだすような感覚をおぼえてはそのまま必死にしがみついた。
「何処にいたとしても、莉央を見つけられるから」
「……眞紘っ」
「莉央だけを───見つける」
「……っ、」
「だから……」
本当は、ずっと前から気づきかけていた。
私の中でちょっとした…いや、かなり大きな変化が生じてきていたっていうことを。
抱き合いながらも顎を引き、互いに瞳が通い合った時にトクン…トクン…と胸が鳴るこの感覚すら、妙に嬉しくそして…愛おしい。
眞紘の匂いが落ち着くと感じることも。
その中性的な声をずっと聞いていたいと思うことも。
「……だから…」
眞紘は、瞳を揺らし少し切なげな声を発して私を見つめてきた。黒の中に薄い白が光っては消えるような。
黒目がちなそれに──私は簡単に引き込まれて、
"分かった"。
「────俺に、して」