BLADE BEAST
「……行くよ」

「え?」




そして腕を掴み、グンと引っ張って歩き始める眞紘に何が起こったのか分からない。

一瞬だけ見えた表情は、何かを決めたような変化を見せていて何となくハッとしてしまった。

不揃いな足音が、繁華街の中心部で生じては…混じり…消えてゆく。

通行している人間たちを上手くかわす眞紘によって、道が大きく二分されて開かれてゆくのをただ眺めていた。




街の灯りに反射するハチミツ頭。

通り過ぎる女が皆見入ってしまうほどのルックス。

甘くて、優しくて、冷たそうで、そして苦しくも思ってしまう人。




東の人間だとか、喧嘩してスイッチ入ったらちょっと可笑しくなっちゃうだとか…そんなのなんだっていいよ。

眞紘が眞紘なんだって明確な事実があれば、他はなんだってかまわなかったんだ。


アンタは思えばいつも私を見てくれた。

ほんの些細なことでも覚えててくれる。


────私はそれに救われていたんだ。
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